体験談

体験談

わたしは105番。

 わたしより可愛い子がたくさんいる!
 控えの通路でヒップホップのダンスを華麗に踊っている子がいる!
 AKB48の「Everyday、カチューシャ」を完コピできてる子がいる!
 なんだか、わたしだけ、一番、普通の子。

 用意してきたのは、大好きな「世界に一つだけの花」を歌うことだけ。どこからか聞こえてきた。
「ジャニーズの男の子と知り合いになりたくて応募してる子はオーディションに落とされるそうだよ。」
 一気に不安になった。そういうつもりじゃないけど、誤解されちゃったらどうしよう。違う歌に変えたほうがいいのかな?でも、間違えてしまったらいけないし。
 また、クラくなっちゃった。ダメ。こういう性格を直したい。明るくなりたい。

「はい、次、101番から、105番!」

 呼ばれた!呼ばれちゃった!

「よろしくお願いします!」
101番の子が大きな声でおじぎをした。
102番の子も、その次の子も、みんな元気。
わたしの順番だ。
「よ、よろしくおねがいします。」
ああ、ダメだ。

 目の前が真っ白になった。さっそく、101番の子がパフォーマンスをはじめてる。何をしているんだろう?あれ?聞いたことのある曲なのに、この子が何をしているかわからない。

「はい、次、105番。」
「はい!」
びっくりして立った。
「お名前は?」
「◯◯◯◯です。」
「はい、ありがとう。座ってください。」

 え?終わり?これでおしまい?不合格決定?

 お昼ご飯、喉を通らなかった。

 一次選考発表。どうせ、わたしの番号なんてない。

「3番、6番、36番、56番、105番、以上です。」

 ごめんなさい。そのあとは覚えていません。


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